地下洞/アンドリュー・ガーブ

地下洞 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 663)

地下洞 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 663)

それまでのプロットを全て無効にしてしまう(厳密には微弱だが伏線はあるにしても)驚愕のラストは、伏線の美学を重要視する推理小説に対する強力なアンチテーゼだが、読者の胸をよぎるのは「唐突すぎんだよ、こらあ」ではなく「ぶっ飛びすぎだよ、このラスト」という驚嘆のみ。

反則も突き抜けると不快なものから爽快なものに転ずるという好例だろう。プロレスみたいな発想だと思う。

プロンジーニ&マルツバーグ『裁くのは誰か?』を読んだ時みたいな読後感。