逃亡作法/東山彰良

逃亡作法 TURD ON THE RUN (宝島社文庫)

逃亡作法 TURD ON THE RUN (宝島社文庫)


第1回このミス大賞銀賞。


応募時に選考委員に後半部のプロットの破綻を指摘され、改稿したものが現在書店に並んでいるものらしいが、それでも後半部のあまりの散漫な書きっぷりに頭が痛くなったんですが。
せっかく死刑制度の廃止とアイポッパーの導入、国境の曖昧化した近未来、シリアルキラーの争奪とオリジナリティーある設定を持ってきてるのに、単なる雰囲気つくりの小道具程度にしか機能していないのがなんとも。ここらを上手くいじるだけでトンでもない名作になっていたかもと思うともったいない。


ジャンクでチープな作風は、すでに戸梶とか小川克己といった優れた書き手が排出されているだけに需要があんまり無いかも。この作家ならではという点が欲しい。
供給の飽和って怖いね。