自殺の殺人/エリザベス・フェラーズ

自殺の殺人 (創元推理文庫)

自殺の殺人 (創元推理文庫)


トビー&ジョージシリーズ。


自殺か殺人か。この相反する真相を巡って事件は2転3転する。フェラーズ作品に付き物の登場人物達の高いテンションも加わって、お笑いあり、しんみりありのディスカッションが繰り広げられる。


話の筋だけ読むと、親子の葛藤を筆頭に暗い主題なのかと思ってしまうが、実際は前述の通り、無駄なテンションの高さによってユーモア漂う。日本で初めてフェラーズが紹介されたとき、訳者がその全貌を掴めず固い訳にしてしまい、以来最近の再評価に至るまで陰惨なサスペンス作家として認知されていたというのは、おそらくこのテンションの高さを表現できなかったからなんだろう。


肝心のネタはやはり見劣りしている。この手のネタは沢山書かれており、いまさら感は強い。よってこの作品は上記のようにユーモア部分を愉しめれば良いのでは。