犬はどこだ/米澤穂信

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)


 前作『クドリャフカの順番』がガルシア・マルケスなら、本作はボルヘス*1。これで米澤=ラテンアメリカ説はますます強固になった。当然、冗談。


 が、どうも米澤は「故郷」というモチーフが好きらしく、それを根拠とするならばラテンアメリカの巨星たちに通ずるものを否定はしきれない。思えば過去の作品でも、「故郷」は重要な構成要素となっている。
 乾いた筆致をして単なる郷愁で片付けさせないあたりも、自身の武器を自覚しているようでポイント高い。


 また、謎解きに対して前述したようにボルヘスみたいな処理をしているので、個人的には非常に好み。
 『クドリャフカ〜』とどちらが楽しかったかと言われれば、酩酊感の強い『クドリャフカ〜』を挙げるが、『犬はどこだ』も十分面白い。いいなあ、米澤穂信

*1:どの作品かは推して量るべし